シンクロニシティのような出来事

子供時代の『探し物との再会』



「明日はきっと雨。その雨の中、宿場先にある土産物屋で見つかる筈」
ある日の夢の中で分厚い埃がかかった古めかしい本の中にそれは書かれていた。しかし、それを見ていた自分は、少年時代の自分だった。起床後も奇妙なほど、鮮明に覚えていたそのシーンを「夢日記」に書き留め、その後特段気に留める事もなく暫く時が経ち、この夢の存在(メッセージや情景)をほとんど忘れて過ごしていた。そして当然のことだが、日常は何もこうした事象など、些細な事として過ぎ去っていく。
ある年の早秋、配偶者と共に東北地方のさびれた秘湯巡りをする事となった。2泊3日の旅行で、ひなびた温泉宿をめぐって、その土地における何気ない店などを探訪していた。1日目の晩に夢を見た。それは、地方の民宿に泊まっているという夢で、ある老婆が現れ「明日はきっと雨。その雨の中、宿場先にある土産物屋で見つかる筈」云々の言葉を発した。起床後、この夢は前に見たことのある夢と同じで、何か奇妙なものを感じるのだった。

翌朝は、朝から正に雨。小雨の中、土産物というか、変わった掘り出しモノや骨董品探しも兼ねて、妻と2人で朝の散策をしたのだった。温泉街の外れにある、みすぼらしい土産物屋に立ち寄ったところ、子供時代に欲しくとも手が出せなかった古い型のおもちゃを見つけた。その店先での商品はまさにその夢に見た物品そのものであった。偶然とは言え、何やら漠然と心の片隅に置き忘れた子供時代の切ない気持ちも蘇ってきた。


雨の風化


Midnight light

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